2009年5月31日日曜日

118 / 162 壊れかけた教師たち

10点満点で、2点。

活性化(普通に読んだ)・・・1時間半程度

分類に困ったが、まぁルポルタージュといえなくもないだろう。
タイトルを改めた方がいい。「壊れかけた教師たち」ではなく「壊れている教師たち」に。本書のタイトルからは、非行、学級崩壊、モンスターペアレントなどさまざまな「教師だけでは解決しきれない」問題に悲鳴を上げる教師の切実な訴えが書かれているものかと思っていたのだが、全然違った。そういう部分もなくはないが、基本的には問題教師たちの実態を暴き出している。

しかし、著者は公立高校の教諭等を経てライターになったらしいが、この文章力はひどい。ライターどころか、よくこれで人に物を教えていたのだと思う。記述に一貫性がなく、話題が飛び、誰のことを話しているのかわからなくなる箇所が多い。別に国語教師でなくとも、わかりやすい文章を書くのは大前提だろうに。この程度の人物が教員としてやっていけるのだから、そりゃ確かにレベルも低いわな、と妙な納得をした。

取り上げられている現場の教職員たちが発する生の声も、とても人に物を教えている人物とは思えないレベルの発言ばかりで、確かに「壊れている」連中ばかりだな、とは思うが。

しかし、著者は教職経験もさほど長いわけではなく、面白いことを書いてるわけでもない。本書を読む限り、ネタもさほど持っているとは思えない。この文章力で「教育ライター」を名乗っているが、仕事ってあるんだろうか?



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2009年5月30日土曜日

117 / 161 7つの習慣

10点満点で、9点。

活性化(スキタリング~普通読み)・・・3時間弱

フォトリーダー仲間、まーくんお薦めの本。厚さから読破には3時間くらいかかりそうだな~と思いながら手に取ったが、かなり飛ばし読んでも3時間かかった。

最初は時間ばかり気にしながら読み進めたが、途中から本書の深さに気づき、熟読した箇所も少なくない。一般にはビジネス書に分類されるようだが、これはむしろ哲学書じゃないだろうか。

成功すると言うよりも、充実した人生を送るにはどうするべきか、自分は何を考えて生きていかねばならないか、それを教えてくれる。例も豊富であり、「理解してから理解される」など、目から鱗が落ちる箇所がいくつもあった。

急いで読んだが、咀嚼するべく何度も読み返しが必要な本。深い。重量級だな。



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116 / 160 「戦争体験」の戦後史

咀嚼しきれなかったので、採点しない。良書とは思う。

活性化(スキタリング)・・・1時間程度

戦没学徒の遺稿集「きけわだつみのこえ」と、戦没学生記念会「わだつみ会」を中心に、「戦争体験がどのように『利用』されてきたのか」を考察した本。左派、あるいは右派が、戦争というものをどう捉え、政治、軍事、国防といった物をどう捉えてきたのか、そのために戦争体験をどう利用してきたのか、考察している。

正直なところ、俺自身の知識不足が大きく、内容を把握できたとは言い難い。特に戦後初期については、ほとんど読み取れなかった。

興味深く読めたのは、「きけわだつみのこえ」では、当初意図的に、勇敢に散っていった、あるいは国のために命を捧げるようなことを書いた文章は除かれたこと。GHQの検閲を避けるという意味であったはずが、いつの間にか一人歩きし始めて、「学徒はみな理不尽さを抱えて散っていった」という扱いに変わってしまったこと。

それに反発を感じた人たちが、(時代の変化もあるのだろうが)「雲ながるる果てに」で取捨選別のない遺稿集を出し、より広範な考え方を知らしめたこと。そして何より興味深かったのは、「所詮学徒はエリートであり、考える余裕を持った連中であり、農村出身者は素朴に軍に誇りを感じて死んでいった」と言うことを伺わせる「戦没農民兵士の手紙」について。彼らは軍の厳しさなど「朝6時起床なんて恥ずかしくて田舎では見せられない」だの、「農作業に比べなんと楽なことか」など、軍隊生活に負のイメージを持っていない、素朴な感情が見て取れる。

そしてさらに、「農民には教育が与えられなかったので、彼らが軍に盲従しても、それは彼らの責任ではない」と主張するのがエリート層であり、むしろ農村出身者は「それでも盲従したのは彼らの責任であり、むしろ責任を否定するのは、彼らを対等の人間扱いしていない証左」と主張する。この対比も興味深かった。

もっと知識を蓄えてから読む本だったが、良書だとは思う。「きけわだつみのこえ」「戦没農民兵士の手紙」いずれも読んだことがないが、読んでみるべきだろう。



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2009年5月28日木曜日

115 / 159 「残業ゼロ」の仕事力

10点満点で、6点。

活性化(普通に読んだ)・・・30分程度

先に読んだ『「残業ゼロ」の人生力』よりはいい本。とはいえ、内容の多くは経営者、管理職向けの感があり、俺のような兵隊が読んでも「そういう職場だったらいいよね」としか思えないことも多い。

書いてあることで大きく間違っていることは少ないと思うが、気になる点は多い。それもこれも、仕事をコントロールすることができる立場からの視点で書いてあるからだろう。

「会議では一つの議題に対し2分で結論を出す」という。それは、結論を下せる立場だから言えることだろう。世の中の会社がどうかはよくわからないが、少なくとも俺が出席する会議では、担当者がどれだけ事前に検討を重ねて結論を事前に出しておいても「決定権のある人を説得する」こと以外に結論は出ない。2分で説得できることなら会議に諮る必要などないし、そもそも直接話せばいいこと。会議と言うからには、ディスカッションがなければ、セレモニーでしかないと俺は思う。そうではないという人は多いけれど。

「デッドラインを厳しく設定して、それを何が何でも厳守する。残業は認めない」と。物理的に不可能なデッドラインが設定されたらどうするのだ。その責任は誰が取るのだ。守れなかった奴か。著者の言い分だと、いかなる理由であれ、デッドラインを守れなかったらそいつの責任だ、と読めるのだが。

ワークライフバランスについても、それはちょっと、あまりに寂しい考え方ではないかと感じるところがある。それについては、「『残業ゼロ』の人生力」の書評に書いた。

ロジカルシンキングの重要性について触れているが、本書が必ずしもロジカルでない点も気になった。ロジカルでない上に、「異論・反論は認めない」というスタンスで書かれていて、それにも違和感がある。

「ビジョナリーカンパニー」を読んでいなければ、また違った読後感だったのかもしれない。



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114 / 158 インテリジェンスと国際情勢分析

10点満点で、9点。

活性化(スキタリング)・・・1時間半程度

土曜日に開催した、読書会に持ち込んだ本。40分ほどで読んでレビュー、という会だったが、120ページほどしか読めなかった。その範囲で、質問作りをした箇所についてはある程度答えを読み取れたが、かなり飛ばして読んだ印象が強かったので、帰ってから再読。

インテリジェンスとはなんぞやという概論から、著者なりの周辺国との国際情勢を分析した結果を記述してある。第1章の「インテリジェンスとは?」と、第2章の「カウンター・インテリジェンス」は非常にわかりやすく、おおよそどういったものかは想像しやすい。

周辺国の脅威についての分析も、基本的には公刊情報からの分析であり、それぞれの主張には根拠となる文献が明示してあり、信用できる物という印象を受ける。もちろん俺は専門家ではないし、周辺国の情報も積極的に集めているわけではないから、著者以上の精度で批評できるわけはないのだけれど。

あとがきにも触れているように、本書は中国の脅威に重点を置いて記述してある。本書の刊行は2007年だが、著者の分析が的確だとすると、中国の脅威は現在既に現実の物になっている可能性が高い。そして、中国に対する懸念は、一部北朝鮮の現在とかぶる。

それは、北朝鮮(本書では、中国)がアメリカまで届く弾道ミサイルを手にして、核弾頭の搭載に成功した場合、北朝鮮(同)はフリーハンドで日本を核攻撃できる可能性を持つこと。日米安保によってアメリカが報復核攻撃をすると、アメリカは再報復を受けるリスクを冒すことになるため、躊躇するリスクがあるということ。

正直なところ、本書を読むまで、そこまでのリスクは頭に浮かばなかった。言われてみれば当たり前の話なのだが、テポドン2号が完成しようがしまいが、ノドンが日本に届く以上は、核の小型化のみが日本に対する脅威だと誤解していた。

インテリジェンスの世界は情報が古ければ価値は激減するのだろうが、それでも俺には非常に勉強になった。
最初は8点と書いていたが、9点に上方修正。



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2009年5月25日月曜日

てっぺんの朝礼

昨日、フォトリーディング集中講座の受講仲間と、フォローアップ読書会&飲み会を敢行した。読書会には前回のフォローアップ飲み会に参加した4名、飲み会には+1名と、他のセミナーに出席していた人が合流して、6名。

読書会では予想通り上手く読めず、まだまだ力不足であることを実感。40分で120ページ程度か。まだまだ努力が必要。

そして、飲み会。会場は、渋谷の「てっぺん渋谷 男道場」
ここの朝礼に参加してみた。

朝礼の概要は、「てっぺん!の朝礼」で予習済み。

凄い。何というか、全身のエネルギーを絞り出すような、力が出てくる。確かに行っていたとおり、「見学」ではなく「参加」になる。スピーチ訓練では全員がスピーチできるのではなく、「やる気」を見せた人のみが指名される。スタッフだろうと客だろうと関係なし。最初はスタッフが指名されていたが、確かに「指名をもぎ取った」感じ。実は俺も3回目に何とか指名を受けて、今までどこでも誰にも話したことがなかった、自分の夢を語ってしまった。

NO.1宣言は全員に回ってくる。「日本一楽しい酒を飲みます!」と宣言。その後の酒は、本当に楽しかった。

惜しむらくは、居酒屋としてはまだまだ2戦級、オーダー取ってから出てくるのが遅かったり、価格が決して安くなかったり。とはいえ4時間もいたから、6000円くらい取られても当たり前かもしれないが。

調子に乗って飲んだせいで、今日は二日酔い。

2009年5月24日日曜日

113 / 157 散るぞ悲しき

10点満点で、8点。

活性化(普通に読んだ)・・・2時間程度

太平洋戦争最大にして最悪の激戦地、硫黄島の総司令官・栗林忠道中将が出した手紙や電報から、硫黄島の激戦を振り返っている。東条英機から「アッツ島のように戦ってくれ」と、最初から勝つことを期待されず、ただひたすら米軍を足止めするよう宿命づけられた防衛隊。誰もが行きたがらず、栗林のみが愚直に命令に従ったようだ。

本土への空襲を防ぐため、一日でも長く戦い続けることを宿命づけられた栗林は、部下に玉砕を禁じ、どんなに苦しくなっても生きて戦い抜けと指示する。それは自身の最後も、司令官として通常あるべき陣中での切腹ではなく、部下とともに突撃をかけた(バンザイアタックではない)ことで迎えることにも現れている。

米軍から「5日で落ちる」と見積もられていた硫黄島で組織的には36日、個々の兵士としては戦後数年も戦い続けた奮闘ぶりは、アメリカでもっとも尊敬された日本人将校として記憶され、また捕虜が「カミカゼ・ソルジャーとイオージマ・ソルジャーは特別だ」と言われた、そのことからも伝わっている。

その栗林は、前線にあって留守宅の隙間風を気にし、塞ぎ方をわざわざ図解入りで手紙にしたためている。家族の平穏を守るため戦い抜き、「届いた頃には死んでいるかもしれないから、一切の差し入れは不要」と言い切った男の矜恃を感じるのは俺だけだろうか。著者は、その戦いぶりから家庭的な面を伺わせる手紙をしたためていることは興味深いと感じているようだが、俺には逆に、常に自分が守るべき対象を頭から離さなかった、その現れだと思う。

その栗林が最後に出した電文は内容が改変され、辞世の句までが修正されてしまっている。陸軍と海軍の縄張り争いを戒めた文章は、現在の戦史叢書からも削除されてしまっている。日本は、祖国のために散っていった英霊たちの思いを、まだ受け止め切れていない。



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2009年5月23日土曜日

112 / 156 新左翼とは何だったのか

10点満点で、4点。

活性化(高速リーディング)・・・1時間程度

最近は基本的にフォトリーディングしてから読んでいるので、もうカテゴライズはやめた。どれもこれも該当するし。


クロコダイン「ザボエラよ 頭の悪いオレだが だまされ続けたおかげで 一つ物を知った・・・ それは・・・・・・! この世には 本当に煮ても焼いても喰えぬヤツがいる! ・・・ということだ!!」

まさに、「煮ても焼いても喰えぬ」連中だろう。著者の語る「新左翼」とは。
本書では新左翼の思想について深く語られることはなく、ただその活動と社会に与えた影響を淡々と語っている。淡々と語ってはいるのだが、その思想の闇がかいま見え、薄ら寒さを覚える。

著者が言いたかったこととは違うのかもしれないが、俺が感じ取ったこと。

・新左翼とは真に進歩的かつ正しい思想だが、厳密な解釈を求める故に分裂してしまった
・新左翼の活動が失敗したのは、大衆の無理解と内ゲバのせい

恐ろしいのは後者で、今でも自分たちが正しかったと思っているように感じられること(これは思想信条の問題だからとやかく言うべきではないのかもしれないが・・・)、そしてそれ以上に、「内ゲバ以外の暴力」について「悪かった」ではなく「戦略的に見て失敗だった」と振り返っているようにしか思えないこと。無謬の市民や警察官などを殺傷したことについて、「大衆の支持が得られなかった」ことについてしか反省していない。「俺たちの暴力はいい暴力、警察の暴力は悪い暴力」と言うことなのだろう。

どうして「自由」「平和」を語る連中ほど、「他者の言論の自由」を認めず、「反対する奴は武力で抑えてでも」達成しなくてはならないと考えるのだろう。それは、特定の思想による独裁だと頭が及ぶことはないのだろうか。

前回の読書「警察の闇 愛知県警の罪」を読んだ後なので、警察に対してネガティブイメージを持った状態で読んだのだが、それにしてもこれはひどい。なぜ日本の治安組織は、こういう連中が今でも活動することを許しているのだろう。そう感じてしまう。



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2009年5月22日金曜日

111 / 155 警察の闇 愛知県警の罪

10点満点で、6点。

活性化(普通に読んだ)・・・1時間半程度

「キツネ目の男」宮崎学氏の著書。どれだけアンダーグラウンドな情報が出ているのか・・・と期待しながら読んだが、意外に面白くなかった。

警察不祥事は、一般に比べ報道されやすい(はず)ので、割と頻繁に目にすることがある。その件数だけで一概に「だから警察はダメだ」とは言えないだろう。どこの組織でも、ある程度の比率で法を犯す人間は出てくるし、たとえばその辺の会社員が万引きしても新聞に載ることはまずない。それが、警察だと新聞ネタになりやすいと言うだけだろう。

問題は、自衛隊を除けば最強の武装組織である警察が、その武力とともに持っている権力を振りかざし、利権その他にまみれていること。そして、事実上それを取り締まる組織がないこと。各地警察の裏金作りを例に、警察の腐敗ぶりと自浄作用のなさが描かれている。

タイトルにあるとおり愛知県警の話題が多いが、それだけにとどまらず、官僚組織にも言及している。これらの情報、今はネットでいくらでも知ることができるが、確かに著者の言うとおり、マスメディアに登場することはほとんどない。「警察とメディアの癒着」が少なからずあることの傍証なのだろう。

実は身内に警察OBがいるのだが・・・ちょっと見せられないかな。



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2009年5月20日水曜日

110 / 154 渚のクロダイ釣り

採点するような本ではないが、何となく7点。

活性化(普通に読んだ)・・・1時間半程度

連休に帰省した際、どこに釣りに行こうかと調べていたら、砂浜での渚釣りなるものの存在を知った。
チヌといえば防波堤か磯。砂浜でも釣れることがあるらしいとは知っていたが、メインに狙う釣り方は知らなかった。

瀬戸内海ではチヌといえば本命も本命、多分釣り人が10人いれば5人はチヌ狙いだと思う。それなのに、実は今まで一度も、小物も含めてチヌを釣ったことがない。狙いに行っても釣れず、いつしか「チヌは難しい」と諦め、狙わなくなってしまった。

それが、ネットで検索すると、「渚釣りは数釣り」と言われるほどに釣果があるらしい。「釣れすぎるので資源保護のため乗っ込み時期は釣らない」なんてのまであったが、次にいつ行けるかわからないし、初心者がそんなに釣れるわけでもないだろうからと、行ってみた。

結果は惨憺たるもので、3日通って1枚も上がらず。フグばかり50匹以上。悔しいので、「渚釣りを知らしめたきっかけ」と言われる本書を手に取った。

本書には丁寧に、道具や仕掛けに始まり、ポイントの探し方、コマセのまき方、取り込み方まで丁寧に記述してある。イラストも多く、普段から釣りに親しんでいる人なら、著者の言わんとすることがすぐ理解できるように書いてある。残念ながら俺はしばらく釣りから遠ざかっているので少々読みにくかったが、おそらくこれは著者の責任ではない。

渚釣りだけのようなタイトルだが、実際にはそんなこともなく、サナギ釣りやスイカ釣りなども紹介してあり、「普通とは違ったチヌ釣り」の本。読んでいるだけで楽しく、今度こそ釣ってやろうとモチベーションが高まる。

問題は、埼玉には海がないことか・・・



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2009年5月19日火曜日

109 / 153 あの人はいつ勉強しているのか?

10点満点で、7点。

活性化(高速リーディング)・・・1時間程度

ページ数の割には時間を割いたが、2~3段組で書いてあり、また項目によって結構深く考えながら読んだりしたので、かけた時間分の価値はあったと思う。

16人の実業家その他、さまざまな立場の人たちが、勉強に限らず、仕事に対してどう取り組んでいるのかを語っている。なるほどと思うもの、そりゃ違うんじゃないかと思うもの、いろいろあるが、こういうことに正解はない。どの方法でも向いている人はいるだろうし、逆に万人向けでも自分には向かない方法かもしれない。自分にあった方法を見つけ出すことができればそれでいい。そのためには、16人ものスタイルが紹介されているこの本は、ページ数の3倍くらいの価値があるんじゃないか。

多くの人に共通しているのが、読書を推奨しながら、アウトプットをそれ以上に重視していること。確かに、せっかく読書で知識を得ても、使うことがなければそれは趣味でしかない。俺の読書スタイルだが。アウトプットのために、とにかく大量のインプットを薦める人もいれば、精読を薦める人もいるが。

個人的には、こういう本に甲野善紀さんが取り上げられているのが興味深かった。それと、やはりエンジニアは取り上げられないんだな、と。



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2009年5月18日月曜日

108 / 152 現役続行

10点満点で、7点。

活性化(普通に読んだ)・・・2時間程度

プロ野球の世界で、あるいは入団時に、あるいは怪我で、あるいはチャンスを与えられずに選手生活断念が頭をよぎった男たちの物語。ある者ははい上がり、ある者は諦めずにチャンスをうかがい、そしてある者は球団から引退セレモニーを与えられずに姿を消した。

華やかな世界から転落したもの、華やかな世界を知らずに姿を消したもの、いずれも我々がイメージするプロ野球選手像とは違い、地面をはい回る泥臭さを感じる。こういう男たちがいるからこそ、一部のスターが輝き、また高額の年俸を得るのだろう。

読む限り全員に共通しているのは、とにかく野球が好きだということ。やはり最後はカネではないのだな、ということ。これは、挫折を経験した選手たちを取り上げている本書の性格に依るものかもしれないが、「カネなんていらない、野球がしたい」という情熱は、どの選手からも感じ取れる。

プロ野球を観る楽しみが、また一つ増えた。



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2009年5月17日日曜日

107 / 151 裏方

10点満点で、7点。

活性化(普通に読んだ)・・・3時間程度

小説を読むように、フォトリーディングだけしてトリガーワードの抽出も質問作りもせずに読んでみたら、思ったより時間がかかった。普通に読んだときと同じかもしれない。

本書はプロ野球の世界で裏方といわれる、日の当たらない場所で選手あるいはチームを支える男たちの実像を、鮮やかに描き出している。審判、トレーナー、グラウンドキーパー、ブルペンコーチ、グラブメーカー、スコアラー、そしてスカウト。審判とグラウンドキーパー、そしてグラブメーカーはチームに所属しているわけではないので別だが、それ以外の職はほぼ1年単位の契約、いつ職を失うかわからないリスクを背負いながら仕事をしている。それでいて多くは二軍選手よりも収入が低く、そして日の目を見ることもない。

しかし本書からは、そういったくらい要素ばかりではなく、その中でも職人としての誇りを持ち、信念を持ち、自らの力で選手あるいはチームを支えている男たちの力がよく伝わってくる。おそらくこれはプロ野球に限らず、プロスポーツあるいはショービジネスすべてに共通していることなのだろう。

光の当たらない男たちに光を当てた、本書の価値は素晴らしい。



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106 / 150 裸でも生きる

10点満点で、7点。

活性化(高速リーディング)・・・1時間半程度

小学校ではいじめに遭い、中学校で非行に走り、高校では男子柔道部に所属し、偏差値40から慶應大学へ進学、そして国際機関を経てバングラデシュの大学院に通い、起業。バングラデシュならではのバッグを作る、著者の自伝。この経歴だけでインパクトがあり、迷わず手に取った。

結果として成功している人と言えるだろうから、著者の行動は正しいのだろうが、どうも違和感を覚えた。著者の行動力は凄いし、目的を達成するまでの意志の強さ、集中力も凄い。しかし、長期的な視点に欠けている気がする。それでも、考えるだけで行動を起こさない、俺みたいな連中よりは数段上の人生を歩んでいるが。

分類したとおり、ヒューマンドラマとして読むべき本だろう。個人的にはそれ以上の価値は感じ取れなかった。



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2009年5月16日土曜日

105 / 149 出社が楽しい経済学

10点満点で、8点。

活性化(スキタリング)・・・1時間程度

スキタリングというには読み過ぎたが、満足している。
この本を読んで「出社が楽しく」なるかと言えば、多分関係ない気がする。しかし内容はわかりやすく面白く、そして読みやすい。経済学だからもちろん数字も使っているが、数式など丁寧に追わなくとも内容は理解できる。経済学のとっかかりとして、苦手意識を軽減するために読むにはいい本だろう。

「はじめに」で、「専門家ならこんな構成にはしない」と書いてあるが、素人の俺には本書の構成は十分にわかりやすかった。ある程度予備知識が必要なことは後半にまとめられていて、すらすら読める。

内容は若干薄い気がするが、本書はわずか150ページほどしかないので仕方ないところ。これで不足と感じるなら、次の入門書を手に取ればいい。



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2009年5月15日金曜日

104 / 148 「残業ゼロ」の人生力

10点満点で、5点。

活性化(スキタリング)・・・45分

前提となる「『残業ゼロ』の仕事力」を読んでいないので、正しい評価ができていないかもしれない。しかし、本書を読んだ限りでは、これでもまだかなり甘めの採点。

ひと言で言ってしまえば、青臭い理想論。いや、著者は実践してきたのだから一概に理想論とは言えないのだろうが、それにしてもこの本は、所詮ホワイトカラーの文系職、あるいは経営者向けに書かれた本で、エンジニアやブルーカラーには無縁の世界だと言っていいだろう。

著者には、仕事そのものに喜びを感じる、ライフワークという発想はないらしい。単純に労働時間が長いことを悪と決めつけ、真の人生は退職後に始まるとしている。そんなものなのか。著者が日本と海外を往復するのに使う飛行機は、毎日定時で上がるエンジニアが作り上げたのか。本を作るための印刷機は、定時で上がる連中が作ったのか。これらはいずれも、現在はどうか知らないが、スタートは「モノを作り出したい」「世の中を便利にしたい」「社会に貢献したい」と考えた技術者たちが心血を、あるいは人生をつぎ込んで作り上げてきたものじゃないのか。

技術者の少なくない人数は、金銭的報酬に固執していない。自分の研究、活動がいかに社会に貢献するか、そういったものが報酬だと感じている人がいる。彼らにとって仕事は人生の喜びそのものであり、早期退職などは自己の満足感も、そして社会の発展も得られないマイナスですらある。こういった部分に考えが及んでいないのが、所詮自分でモノを作り出してこなかった、著者の限界なのだろう。

本書には残業しないことのメリット、早期退職のメリットなどたくさん書いてあるが、それらを真に受けて実践できる立場の人間がどれだけいるのか。「こういう社会はよくない」と警鐘を鳴らす価値は認めるが、たとえば今月の手形が落ちるかどうか汲々としているような会社で、社員が1ヶ月も2ヶ月もバカンスを取ったらどうなるのか。普通はどうにもならないだろうし、やっていけるようならその会社は1名分の人件費を浮かせる余地がある。

この本からは、「経営が安定している大企業」以外では仕事をするべきでない、という発想が見え隠れするように感じるのは、穿ちすぎだろうか。

第一、著者が本当にこの本の主張が正しいと感じているなら、経団連にでも、あるいは世の中の大企業トップにでもいい、直接提言すればいいじゃないか。末端の意識改革も重要だろうが、「仕事できるだけでありがたい」今の日本では、本書に書いてあることを実践すれば職を失うリスクの方が高い気がする。

5/16追記:
なぜ本書にこれだけ反感を抱くか、わかった。
「仕事してる間は本当の人生ではない」という主張が、24時間態勢で奉職している自衛官、生涯現役で365日働いている農家の方などを、バカにしていると思えるからだ。
「本書はホワイトカラー向けに書いたものです」と書いてあればまだ許せたかもしれない。しかし、劣悪な条件で社会を支えてくれている人たちを、上から見下してモノをいう態度が許せないのだ。
著者は、「そうだ、葉っぱを売ろう!」を読んだら、「80過ぎても仕事が生き甲斐なんてなんて惨めな人生だ」とでも言うのだろうか。



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2009年5月14日木曜日

103 / 147 非常識な成功法則

10点満点で、7点。

活性化(スキタリング)・・・45分程度

「目標達成する技術」を咲に読んでいなかったら、おそらくかなり辛い採点にしただろう。基本的には精神論であり、(ビジネス書の大半はそうなのだが)科学的な根拠に乏しい、「こうした人はうまくいってる」ことを羅列している。「こうしたけどうまくいかなかった」人がどの程度いるかが示されないと、一概に信頼できる話ではない。

とはいえ、俺もフォトリーディングという「潜在意識を使って」本を読む手法を学んだ身だし、演習でも実際に「考え方一つで、得られる情報量が圧倒的に増える」ことを体験したから、現時点では積極的な否定もしない。

何より、本書に書いてあることは、基本的にどれもこれも気の持ちよう一つで実行できる。お金がかかる話でもなく、今手がけている仕事に何らかの負担をかけるようなものでもない。「殿様営業」などはまた別の話だろうが、それはケースバイケースで、このスタンスで売れるものを売っている人が実行すればいいこと。うまくいけば儲けもの、と考えれば、投資効果の高い本かもしれない。

気になったのは、著者の個性なのだろうが、上から目線で口語調の文章で書かれていること。もちろん「成功者である著者が、非成功者である読者に向けて」書いた本だから、上から目線になるのはやむを得ないのだろうが、のっけから「この本は売れなくてもいい、カネならいっぱい持ってるから」という書き方をしてあるのは、単に最初からエクスキューズを用意しているだけに思えて仕方なかった。

しかし、、、こういう本ってどれもこれも、基本的には独立を促しているし(会社勤めの身では収入の上限なんてしれているから当然なのだろうが)、そもそも文系職しか相手にしていない気がする。エンジニアの端くれとして、現代日本の繁栄は製造業が担ってきたと信じている身としては、エンジニアが金銭的に成功するためのビジネス書がもっと出てきてほしいところ。



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102 / 146 仕事に役立つインテリジェンス

10点満点で、8点。

活性化(スキタリング)・・・45分程度

久しぶりにちゃんとスキタリングで読んだ。
概要はアタマに入ったが、細部はよくわからない。本格的に読みたいときは、ちゃんと読み直せばいい。そう割り切って読めば、スキタリングで素早く読むのは確かに有効。

インテリジェンスの本にはだいたい書いてあることだが、インフォメーションを集めるだけでは意味がなく、適切な分析をしてインテリジェンスにすることで、はじめて有意義な情報となる。本書では、その手法について、複数のインフォメーションから判断の信頼度を測ったり、あるいは相反する情報から判断の信頼度はどの程度変化するのか、わかりやすく演習を交えて記載してある。

興味深かったのは、適切な分析手法を持たない限り、インフォメーションの多寡は最終判断の信頼度にあまり関係がないということ。もちろん極端に少なければ仕方ないが、インフォメーションが多ければ多いほど、それらに振り回されて判断が遅くなる危険を指摘している。

タイトル通り、「仕事に役立つ」と断言していいだろう。惜しむらくは、最終章のケーススタディに模範解答がついていないこと。読み物としても面白いだけに、さらっと流して読むときには、結論だけ知りたいところだった。



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2009年5月13日水曜日

101 / 145 影響力の武器

10点満点で、9点。

活性化(普通に読んだ)・・・4時間程度

もはやフォトリーディングでも速習でもない。ただの熟読。
一応フォトリーディングして、質問作りなどもしたのだが、読み始めるとちゃんと全文読んでしまった。
確か10倍本にも「知らない分野の本は早く読めない」と書いてあった気がするので、読破に時間がかかるのは仕方ないとも思うが、それにしても4時間はちょっと。

さて、本書。元々は心理学の教科書なのか、あるいは教科書としても使えるように書いてあるのか、理論、実例、反論、反証などバランスよく取り上げてあり、決して簡単な内容ではないのに、読みやすい。実例も興味深いものが多く、読書時間の割に、苦痛に感じることはなくすらすら読めた気がする。

しかし、内容は危険なものも含む。相手を思い通りに動かすテクニックが書いてあるので、悪用しようとすればこれほど重宝する本もないだろう。実際に詐欺師などが用いている手法の実例も紹介してあり、その防衛策も紹介してあることから万人向けには見えるものの、読み手に倫理観が必要な本だろうと思う。



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2009年5月9日土曜日

100 / 144 ライト、ついてますか

難しい。採点のしようがない。

活性化(普通に読んだ)・・・1時間半程度

フォトリーダー仲間のまーくんお薦めの本。「お手軽に読める一冊」との紹介だったが、俺には手軽ではなかった。
とはいえ、決して難しい本ではない。軽妙な文体だし、一つ一つのテーマは短くまとめられ、読みやすい。手軽ではなかったというのは、レトリックが多く読みこなすのにアタマをしっかり動かす必要があったのと、なにより今まで考えの外にあったことが次々と出てきて、脳を揺さぶられているような感じを受けたこと。フォトリーディング集中講座で、20分で本を読んだときのような感覚。理解と現実がついていっていないというか、はっきり言葉で表現できる理解よりもアタマがいろいろ考えてて、上手くまとまらない。

さらっと読むつもりだったが、読んでいるうちに頭が回転し始めて、流し読みしながら熟読という我ながらよくわからない読み方をした。

この本の価値は、複数回読み込まないと掴めないかもしれない。
多分、もう一回読んでみたら、今は上手く言えないこの感情が、どこかですとんと落ちてくるのだろう。



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2009年5月8日金曜日

099 / 143 最強の戦闘機パイロット

10点満点で、8点。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

米軍との模擬空中戦で、F-104でF-15を撃墜した伝説のパイロット、故ロック岩崎氏の名著。ちなみにこれがどれくらい凄いかというと、本当のところはわからないが、多分乗用車でGTカーレースに優勝してしまうようなもんだろう。

航空自衛隊の厳しい訓練、ドッグファイトの過酷な現状、そして日常勤務など、俺みたいな一般人が「戦闘機パイロット」という単語から想像するあこがれ、そして知りたいことのほぼすべてに答えてくれる。文章も軽妙で読みやすく、それでいて内容は濃い。

F-15を撃墜するなんてロック岩崎氏くらいのものかと思っていたら、本書によると他にも同様の成績を上げたパイロットはいるらしい。噂話で聞いた、「トップガンも航空自衛隊には勝てないらしい」とか、「米空軍は空自との空戦を嫌がる、なぜならパイロットが自信を喪ってしまうから」といった話も、あながち冗談ではないのかもしれない。

これだけの技能を持ったパイロットが、実は飛行機酔いに悩まされていたというエピソードなど、意外な面もたくさんあり、多分軍事に興味がない人でも楽しめる本だと思う。



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098 / 142 資格試験の合格技術

10点満点で、7点。

活性化(スキタリング)・・・1時間程度

資格試験予備校のカリスマ講師が書いた本・・・という触れ込みだが、著者は公認会計士の試験指導をしつつ自身は公認会計士試験に合格してない。そんな人が書いた本なんて本当に大丈夫かいな、という先入観を持ちながら読んだ。まぁ、本当にダメだったらカリスマ講師なんて言われないだろうが、自称かもしれないし。

読んでみたら、考えが変わった。これは名著だ。「史上最強の人生戦略マニュアル」と同じく、実践しなければ意味がないタイプの本なので3点ほど減点しているが、実践すればこの本の価値はもっと高いと思う。

個人的には、必要勉強時間を割り出す考え方と、復習に特化した勉強法が役に立った。特に前者は目から鱗が落ちる思いで、当たり前のことを自分がいかに意識していなかったのか、痛感した。公認会計士の平均的勉強時間が3000時間と聞いて、どの程度大変なのか想像もできなかったが、ちゃんと計算してみればいかに大変な資格なのかよくわかる。それに比べたら、俺が受けようと考えてる資格なんて、どれもこれも屁みたいなもんだ。ちゃんと勉強さえすれば。

この本はブックオフ送りにせず、手元に置いておこう。



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097 / 141 史上最強の人生戦略マニュアル

10点満点で、7点。

活性化(普通に読んだ)・・・2時間半程度

この本も、フォトリーダー仲間のじゅうみさんお薦めの本

本が悪いわけではなく、演習をちゃんとやらないとこの本は評価できないと思うので、その分を残してあるという意味。残り3点分の価値はあると思うが、やってみないと何とも言えない。

著者が経験した豊富な実例が書いてあり、著者の「現実を認めなければ先に進めない」「現実を受け入れるところから将来は開けてくる」という主張を裏付けている。そういう例を集めているといううがった読み方もできるだろうが、俺自身はなるほどなーと頷きながら読んだ。

最初はスキタリングでさらっと読むつもりだったが、引き込まれて熟読してしまった。まぁ、それだけの価値がある本だったということだろう。

じゅうみさんが書いていたとおり、「目標達成する技術」を読む前に読むべきだった本かもしれない。この本の豊富な実例からは、意志の力の重要性がしっかり伝わってくる。



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2009年5月4日月曜日

096 / 140 「理工系離れ」が経済力を奪う

10点満点で、6点。

普通に読んで、2時間弱。時間があるので、特に何もせずに読んだ。

末席とはいえエンジニアの端くれなので、こういうタイトルにはどうしても惹かれてしまう。著者は長年工学部で教鞭を執ってきた大学教授、その視点から主に大学の実態に警鐘を鳴らしている。

俺自身は大学教育を受けたことがないので、ここに書いてあることの真偽はわからない。いろいろ話を聞く限り、少なくとも理工系学部のハードな実態は書いてあるとおりだと思うのだが、文系学部が楽なのかというと、それについてはわからない。俺が知っているのは、理系出身者で「大学時代は遊んでばかりいた」という人には会ったことがないという事実だけ。

エンジニアは理論より現実を重んじて、理論と会わないことに出会うと、理論が間違っているのではないかと考える。これは当然だろう。俺もエンジニアだからそう感じるのかも知れないが、当たり前以外の何者でもないと思う。しかし著者は言う。「経済学者は、理論と現実に食い違いを認めると、現実がおかしいと主張する」と。そんなことあるんかいな。

大学のことはわからないが、少なくとも日本では、経済発展の大半を製造業、エンジニアが担ってきたことは厳然たる事実だと思う。それに対して、エンジニアが正当に評価されてきたかと言えば、これは残念ながら違うというのも事実だろう。著者によると、同じ大学を卒業しても、文系学部の卒業生と理系学部の卒業生では、生涯収入に5000万円以上の違いがあるそうだ。著者の言うように、「エンジニアが稼いだ金を、稼がない奴らが分配して、余りがエンジニアに与えられる」と考えるのも当然だろう。そして著者は、こんな惨状でもエンジニアたち、理工系大学やその教授が声を上げない現状に憂慮していることがよく伝わってくる。

日本は技術立国だとは誰が言ったか。一人や二人ではないだろう。しかしこの本を読む限り、その地位は急速に転落する寸前であることがよくわかる。

惜しむらくは、この本は散文的に書かれていて、テーマはわかるものの結論がどこにあるのかわかりにくく、「つまりどうするべきなのか?」という質問に対する答えを見つけにくい。著者自身述べているように、エンジニアは文章を書くのが苦手と言うことだろうか。



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2009年5月2日土曜日

095 / 139 連合赤軍「あさま山荘」事件

10点満点で、8点。

活性化(普通に読んだ)・・・2時間半

うーん・・・やはり、フォトリーディングの効果が出ている気がしない。意識してスキタリングなり高速リーディングなりをしなければ駄目なのだが、こういう本はどうしても普通に読んでしまう。目的が「情報収集」ではなくて「楽しむ読書」だから仕方ないとは思うのだが。

著者は、あさま山荘事件で事実上指揮を執った佐々淳行氏。当事者の目から事件の実録を記述している。純粋に事件を追ったノンフィクションとして、殉職した機動隊員他事件の犠牲者には申し訳ないが、興味深く読めた。

興味深い点は多々あるが、当時の時代背景、そして現在でも存在する一部左派の思考について、象徴的な箇所を長文ではあるが2カ所引用する。

 あの頃は警察官の家族であるというだけで小学校などで日教組の教師から不当な差別をうけるという、今日の若い人たちには想像もできないようなイデオロギー優先の時代だった。
私が警視庁の警備第一課長で、東大安田講堂事件だの全共闘の街頭ゲバ闘争の警備などに寧日ない、いわゆる第二次反安保闘争はなやかなりしころ、ある日次男の敏行が区立の中丸小学校から泣きべそをかきながら帰ってきた。
聞けば担任のSという女教師に授業中に「このクラスの子でお父さんが警察官と自衛官の子供は立ちなさい」と言われ、次男が他の警察官や自衛官の子供たちと顔を見合わせながら立つと、S教師は「この子たちのお父さんは悪い人たちです。あんたたちは立っていなさい」といわれゆえなく立たされたというのである。
世田谷の三宿に陸上自衛隊駐屯地があるところから、警察官と自衛官の子供は結構何人かいたようだ。親の職業で子供を差別して悪いこともしていないのに立たせるとは何事かと激怒した私は、早速校長先生に抗議した。校長は「日教組には私も困らされています。ですが相手が悪い。また子供さんにはね返ってもいけないから」と言を左右にして一向に煮え切らない。
「では教育委員会に公立小学校における親の職業による差別として正式に提訴しますから」と告げると、これはいけないと思ったのか、校長はS教師を家庭訪問の形でさし向けてきた。
S教師は「ベトナム戦争はけしからん、自民党政権は軍国主義復活を目指している。機動隊は学生に暴力をふるう権力の暴力装置だ」などと日教組の教条主義的な公式論をまくしたてる。
一通り言わせておいてから「私の言っているのはベトナム戦争や全共闘のことではない。貴女は親の職業で罪のない子供を立たせるという体罰を加えたようだが、小学校教師としてそれでいいのかと尋ねているんです。反省しないなら私は教育委員会に提訴するつもりです」という。
S教師はヒステリーを起こして「やるならやって御覧なさい。日教組の組織をあげて闘いますよ」と叫ぶ。
「どうぞ。私もあなたを免職させるまで徹底的にやりますよ。ではお引き取りください」と突っ放す。
すると免職という言葉にイデオロギーが負けたのか、突然S教師はフロアに土下座して「どうぞ許してください。教師をやめさせられたら暮らしていけませんので」と哀願しはじめた。

こんな教師に指導された子供が、まともに育つとは思えない・・・今の教育崩壊は、こういう連中が作り出した面はかなり大きいんじゃないか。

 連合赤軍の「あさま山荘事件」を支持したのはモップル社だけではなかった。
三月一日夜、日比谷野外音楽堂で開かれた「三・一朝鮮独立五十三周年日韓条約粉砕、入管法・外国人学校法案国会上程阻止蹶起集会」に出席したオールド・ボルシェヴィキ、日本社会党の高津正道元代議士は、
「連合赤軍はわずか五人で千四百人の警官隊を相手によく戦った。今や社会主義運動は言葉だけでなくなった。私は五十年もの間この日が来ることを首を長くして待っていた。これで革命も間もないことだろう」と激越なアジ演説を行い、参加した六百人から大喝采を浴びていた。

元代議士が、こんな凶悪な殺人犯を公式の場で支持しているなんて、正直なところ信じられない。しかし恐ろしい現実だが、こういう思想を持った人物が、今でも代議士や参議院議員として社民党や民主党などの一部に存在する。

「君がどれだけ民主主義を批判し、言論の自由を批判しても、君がその発言をする自由だけは命がけで守る。それが民主主義であり言論の自由だ」

こういう言葉をどこかで見かけたことがあるが、正直ここまで異常な連中が実在することを考えると、そして実際に無差別殺人などの凶悪犯罪を繰り返していたことを考えると、民主主義とは本当にいいものか疑問になってくる。

確かチャーチルの言葉だったか、「民主主義は最悪の政治体制だ。もっと最悪なのは、これでも一番ましな政治体制だということだ」とか、そんなのを思い出した。



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094 / 138 目標達成する技術

10点満点で、7点。

活性化(スキタリング)・・・20分

フォトリーダー仲間、じゅうみさんお薦めの本。とはいえ、実は去年一度読んだのだが。なので、短時間で読めたとはいえ、フォトリーディングとはあまり関係ない。

こういってしまうと語弊があるが、率直な感想は「結局精神論か」と言うこと。サブタイトルに「成功の心理学」と書いてあるから当然かも知れないが、「技術」と言うからにはもっと具体的なスキルかと思っていた。とはいえ、この本の主張では「すべての行動を決めるのは感情だ、だから感情のコントロールが一番大切なのだ」ということだから、その意味では感情をコントロールするのは立派な技術といえるだろうが。

じゅうみさんはこの本に感銘を受けて、セミナーも受講したらしい。さて、俺はさほどの感銘を受けなかったのだが・・・「精神論」という先入観が強すぎるのかな。

まぁ、去年読んだときに採点してればせいぜい5点だろうから、2回読んでみて少しずつ価値に気づき始めているのかも知れない。



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093 / 137 頭がよくなる本

咀嚼できていないので、採点しない。読書時間も、細切れに読んだのでよくわからない。

各所で名著と言われているが、会社の昼休みや歯医者の待ち時間など、5分とか10分とかの単位で細切れに読んだので、正直なところ内容がほとんど頭に入っていない。これはフォトリーディング云々に関係なく、俺の読み方の問題だろう。読書にも時間がかかっているので、フォトリーディングの効果を活かしたいなら、少なくとも俺はまとまった時間を取って一気に読む必要がありそうだ。

頭に残っているのは、復習の重要性。これもいろいろなところで書かれているから強く覚えているのだが、とにかくまめに復習をしないと、記憶はすぐに消えてしまうと言うこと。知っているはずなのに、今も勉強するときに復習はあまりしていない。「知っている」と「できる」は違う、すぐに行動に移さないと。



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092 / 136 国防

10点満点で、8点。

活性化(普通に読んだ)・・・1時間半

うーん・・・最近普通に読んでばかりだな。
積ん読解消キャンペーン。とはいえ、この本は一度読んだことがあるので、もう一度読んでブックオフ送りにするためのものだが。

タイトル通り、「国防」について、あるべき姿と現状を論じた本。自他共に認める「軍事オタク」で、防衛庁長官から防衛大臣まで務めたゲル大臣が自分の専門分野について語っているので、俺なんかがコメントを挟む余地などあろうはずがない。いちいちなるほど、その通りだと頷きながら読んだ。

残念なのは、こういう本は右派左派関係なしに読まれてしかるべきだと思うのだが、左派の多くは手に取ることもないのだろうな。理想論ももちろん語ってあるが、「現状ではこれはできない」「これならできる」「これ以外の方法がない」など、事実として受け入れるほかないことについても語られているので、議論のベースを作るためにも、左派の人ほど読んで欲しい本だと思うのだが。



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2009年5月1日金曜日

091 / 135 日本改造計画

読書時間・・・2時間程度
もはや速習でも何でもないな。俺にはフォトリーディングの方が向いているようだ。

積ん読解消キャンペーン。

さて、評価の難しい本。1993年5月の出版だから、まだ自民党にいた時代。この本の主張からは、政権与党としての定見がはっきり示されており、内容は個人的にはかなり評価できる。かなりというよりも、一部を除きほぼ全面的に賛同するといってよい。

俺がこの本を購入したのは、自由党時代だと思う。当時は自民党支持ながらも小沢一郎シンパで、ブックオフで見かけたら105円だったのですぐ手に取った。その後読もう読もうと思いながら読まず、ようやく読んだ。
小沢シンパだったので、民主党の党首になったことについてもかなり期待していたのだが・・・

この本で主張していることは、その後も大きくぶれてはいない。問題は、党首がこれだけしっかり考えているのに、何で党をまとめることができないのか、と。国連至上主義の思想は賛同できないが、国防論、外交論、内政論、そして国会論。どれもこれも至極まっとうなことを言っているのに、何で民主党はあんな電波を垂れ流しているんだろう。

一番残念なのは、国会運営にかかる主義。この本では「全会一致の必要はない、民主主義は多数決だ」と主張し、野党の審議引き延ばし戦術やそれに振り回される政府を批判している。しかし現在の民主党がどうかというと・・・小沢一郎が党首になったとき、これで本当の二大政党時代が来るかもしれないと期待したが、現状では前原体制の方が遙かにましだったとしか思えない。さすがに壊し屋というべきか。

しかしこの本、まさかゴーストライターが書いたんじゃないだろうな。それだけ、現在の小沢民主党とは路線が違う。元々民主党は意見統一のされていない寄せ集めだが、党首の主張についていける党なら、かなりましになるはず。いやもしかして、小沢一郎自体が民主党化してしまったのか?



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